コラム

知っておきたい!園経営の視点 第8回

桑戸真二(株式会社フレーベル館 保育経営アドバイザー)、安岡知子(特定社会保険労務士)

■ 第8回 マイナンバー〈その2〉~年末調整から給与支払報告書、法定調書提出まで~ ■

今回の『桑戸的な視点』は、4月号で取り上げた「マイナンバー」の第2弾をお送りいたします。今年1月にマイナンバー法が施行されて以来、園でのマイナンバーの取扱いについて園長先生とお話をする機会が多くなりました。ある園長先生が「役所から特に指示を受けていないから集めないでいるの。マイナンバーを集めなければいけないのかしら?」と聞かれ、実はどう回答すべきか困惑しました。そこで、今回も、特定社会保険労務士の安岡先生にアドバイスをしてもらいましょう。

安岡:
園運営に関する情報は、自らキャッチアップし、特に法改正に関しては、法に則ってご法人としての対応をしていただければと思います。最近よく言われるコンプライアンス、法令順守ということですね。マイナンバー法も然りです。

これから年末に向けて、どの園でも年末調整を実施しますので、職員のマイナンバーが必要になりますね。平成28年度給与所得者の扶養控除等申告書の用紙には、職員本人と扶養家族の氏名記入欄の下にマイナンバーを記入する欄が追加されました。さらに、来年1月末までに税務署に提出する源泉徴収票や支払調書などの法定調書、また各市区町村に提出する給与支払報告書にもマイナンバーの欄が設けられ、マイナンバーを記入することが法人の義務とされています。

マイナンバーは特定個人情報に該当するため、マイナンバーを取扱うにあたって、厳格な安全管理が必要とされています。具体的には、事前準備として、基本方針やマイナンバーの責任者や事務取扱担当者等を定めた取扱いルール等の規程類の整備が必要です。そして、職員研修を実施して、職員からマイナンバーを集め、集めたことを記録します。もちろん、職員から集めたマイナンバーは厳重に保管しなければなりません。さらに、いつ、誰が、誰のマイナンバーを、何の書類に記入し、どこに提出したのか記録を残していきます。法人として適正にマイナンバーを取り扱ったという足跡を残すということです。

桑戸:
職員に年末調整の用紙にマイナンバーを記入してもらえば、マイナンバーを集めたことになりますか?

安岡:
それでは集めたことにはなりません。マイナンバーを職員から集めるにあたって、利用目的を伝え、番号の確認と身元の確認をしなくてはならないからです。私は、利用目的を記載した承諾書、マイナンバーの写し(例、通知カードのコピー)と、身元確認のための顔写真付きの身分証明書の写し(例、運転免許証のコピー)の3点セットで集めることをお勧めしています。なお、職員の扶養家族については、職員自身が扶養家族の身元確認を行うことになっているため、扶養家族の身分証明書の写しは不要です。

年末調整の話に戻しますが、原則、職員は扶養控除等申告書にご自身と扶養家族のマイナンバーを記入し、園に提出します。このマイナンバーが記入された扶養控除等申告書は、特定個人情報に該当しますので、マイナンバー法に基づいた取扱い、管理が必要になります。毎年、毎年、マイナンバーの記入された書類が増えれば、それだけ安全管理が必要な書類が増えることになり、それはできるだけ避けたいですよね。

そこで扶養控除等申告書にマイナンバーの記入を省略する方法をお伝えします。前提条件として、職員と職員の扶養家族のマイナンバーを集めている必要があります。その上で、職員に扶養控除等申告書の余白に「すでに提出済のマイナンバーと相違ありません。」と記入してもらい、マイナンバーを記入しないように依頼しましょう。事務の先生には、「すでに提出済のマイナンバーと相違ありません。」と記入があること、マイナンバーを記入していないことを確認し、確認印を押してもらいます。一緒に提出してもらう平成29年度給与所得者の扶養控除等申告書についても同様です(国税庁に確認済)。

桑戸:
これから規程類を準備し、職員研修を実施し、マイナンバーを集める…等、年末調整までにできるものでしょうか。

安岡:
できることから始めていただきたいですね。私が監修しました『園のためのマイナンバー取扱いキット』(フレーベル館)をご紹介したいと思います。マイナンバーの取扱いに必要なものが全て揃っていますし、取扱いに関する一連の運用が効率的にできる仕様になっています(※注)。1法人1~2施設の園であれば、これからでも十分間に合うと思います。ぜひ、マイナンバーの漏れない漏らさない体制づくりをしてください。

※注…本キットの内容が、『保育ナビ12月号』裏表紙の裏にある「フレーベル館通信vol.8」に掲載されています。

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桑戸真二・プロフィール:一般財団法人総合福祉研究会理事、NPO法人福祉総合評価機構専務理事、(株)福祉総研代表取締役。(株)フレーベル館顧問。幼稚園・保育園から認定こども園への移行に関するコンサルティングなどを多数手がける。関係省庁・団体とのつながりも深い。

安岡知子・プロフィール:社会保険労務士法人 人財総研役員、㈱福祉総研KYOSTA事業部長。園の勤務経験をもとに、それぞれの法人の現状を踏まえた「現実的なアドバイス」「実施可能なご提案」など「人」に関わる分野で園経営をサポート、人財コンサルタント。

保育ナビ倶楽部 会員限定メールマガジン 2016年11月15日号「コンサルタント・桑戸的な視点」から)

 

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