指導/齋藤二三子(さいとうふみこ)
■ 2月のスピーチ ■
保育者にとって新年度の準備に忙しい2月は、ややもすると、子どもたちとのかかわりが希薄になりがちです。しかし、子どもたちにとっては、卒園、進級に向けての期待と不安が増える時期です。保育者はできるだけ余裕をもって、ゆったりと子どもたちと過ごし、心のケアができるようにして、たくさんの楽しい思い出づくりをしていきましょう。
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お悩みQ&A
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Q
保育者の新規採用試験や面談があります。
どのようなことに気をつけていけばよいでしょうか。
A
一般的には、以下のような内容の試験が多いようです。
・保育者をめざした理由や動機などの作文
・簡単な漢字テストなどの一般常識
・課題曲や自由曲のピアノ演奏
・保育に役立つ製作物の持参
・絵本の読み聞かせや紙芝居の実演
また、絶えず笑顔を忘れずに、子どもたちを受け入れられる感性をもち合わせているかなど、保育者の資質のポイントの一部を観察したいものです。受験者に早めに来園してもらい、子どもたちと遊んでいる姿を観察できるようにしている園もあります。
ほかに、面接の際には下記のようなことも考慮していきましょう。
1.社会人としての一般的なマナーをわきまえているか(立ち居振る舞い、言葉づかいなど)
2.保育者としての人間性をもち合わせているか(自発的な行動、個性、創造性など)
3.個性を大事にしながらも職員同士のチームワークを乱すことがないよう配慮できるか
4.面接する側は、採用後の働き方のトラブルを避けるために、労働基準法【36協定】を理解し、自園の基準を伝えておく(採用後の勤務体系など)
5.理事長、園長のみの面談ではなく、主任を交え、日々の保育につながる質問事項も入れ、プロの保育者としての資質を把握するために、特技や趣味など日々の生活の仕方などを把握しておく(ただし、個人情報につながる質問はタブー)
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季節の文例
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2月のテーマ・・・ひなまつり・・・
◆文例1◆ひなまつり(子どもへ)
ひなまつりに備えて一生懸命作ったかわいい「おひなさま」が、お部屋やホールに勢ぞろいしましたね。明日はおうちの皆さんをご招待して、楽しいひなまつり会をしましょうね。年長組さんは五人囃子のように、たくさんの楽器を演奏してくれるそうです。とても上手ですよ。皆さん楽しみにしてくださいね。
【ポイント】
・年長児が卒園間近の思い出づくりとして、自分たちが考案した手作り楽器を演奏するひなまつりコンサートの前日のスピーチを想定した文例。まもなく小学生になるプライドをもてるよう、低年齢児へのプレゼントということを伝える。
・低年齢児も無理がないような合唱などでお返しができるような出し物を考え、共に楽しめるようにする。
◆文例2◆ひなまつり(職員へ)
三月節句はひな人形を飾るだけの行事ではなく、食育としても意味のある年中行事ですね。菱餅は五月節句と類似しており三月節句は女の子のおまつり、五月節句は男の子のおまつりであることを子どもたちに伝え、どちらも、「子どもが元気に過ごせるように」という願いが込められた行事であることを知らせ、園でも菱餅やひなあられ、ひな寿司を用意して、子どもたちと行事食を楽しみましょう。
【ポイント】
・年齢に応じてひな人形の役割や名前を知らせていくことで、子どもたちの興味を高めていく。
・職員も日本の伝統行事に興味をもち、子どもたちが理解できる言葉にして伝える。
◆文例3◆ひなまつり(保護者へ)
本日はようこそ、ひなまつり会へお越しくださいました。子どもたちは、ホールに飾ってある「ひな人形」にとても興味をもって日々観察しています。そして、自分たちもかわいいおひなさまを作り、保育室に飾って楽しんでおります。どのおひなさまも、すばらしい出来ばえです。どうぞほめてあげてくださいね。
三月節句に食べる菱餅や五月節句のちまきは、どちらも心臓をかたどっており、子どもの成長を願い祝うものです。「子に過ぎたる宝なし」と申します。すこやかな成長と幸せを願って、本日は子どもたちと共にお楽しみください。
【ポイント】
ことわざ・名言の意味
「子に過ぎたる宝なし」
親にとってわが子は、どんな宝よりも勝っているという意味です。人の命には限りがありますが、その命を次の世代へとつないでいくことが親にとっての大切な役目といえます。お節句で子どもの成長を祝う意味を、保護者と一緒に振り返ってみましょう。
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プロフィール:幼稚園教諭を経て幼児教育研究家として30数年。ことば遊び研究会講師、児童文化専門学院、国際学院埼玉短期大学講師、東京成徳短期大学非常勤講師を経て、現在は「言葉と心を大切に」をモットーに幼児教育研究家として教育研修会、実技指導、公開保育、講演活動を通して保護者、保育者の育児指導、教育相談を行っている。
(保育ナビ倶楽部 会員限定メールマガジン 2017年2月1日号「目指せ!スピーチマスター」から)