指導/齋藤二三子(さいとうふみこ)
■ 6月のスピーチ ■
梅雨入りの6月、子どもたちにとって様々なトラブルが発生する時期です。子どもの心と体のバランスを整えるためには、健康や食の安全について十分考慮した生活を考えていくことが重要です。また、梅雨期ならではの保育を大切にしていくことなども話し合っていきましょう。
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お悩みQ&A
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Q.
当園では保護者の方に、日々子どもたちが食している給食の試食会や、七夕などの行事食を体験していただく日を設けています。その時に時間があれば、食育の大切さを伝えたいと思っているのですが、どのような話題を盛り込めばよいでしょうか。
A.
日頃、だれもが関心をもっている偏食等の個々の問題を話題にするのはあえて避けます。代わりに「ワンポイント知恵袋」としてのお話を用意しておきましょう。
ここでは、子どもたちが毎日、友だちや保育者と共にいただく給食をとても楽しみにしていることを伝えながら、季節や行事をテーマに日本の文化にふれる食育のお話をするのがいいですね。
日本には古来から「共食」の習慣があります。しかし最近では食事のあり方が問題にされ「こしょく」が注目されています。「こしょく」と言っても漢字で示すと「孤食」「子食」「個食」「粉食」「固食」「小食」「濃食」と様々です。中でも、一人で食べる「孤食」、子どもだけで食べる「子食」、家族で食べていてもそれぞれ食べているものが違う「個食」のように、共食習慣が崩壊しつつあるのが大変気がかりです。
園の共食も、子どもたちの心と体を育てていることを伝えて、併せて「七夕」等の行事を通して、伝統的な献立の大切さにもふれていきましょう。
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季節の文例
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6月のテーマ・・・「園での食育」・・・
◆文例1◆食育の啓発
子どもの健康を考えると、第一に規則正しい生活が基本です。中でも食べることがおろそかになってはいけませんね。本日は、子どもたちの食育にかかわっております栄養士から、日頃の食事から見られる問題点を専門的な目線でお話ししてもらいましょう。
【ポイント】
・専門家としての観点から、日々の給食の献立や調理の事例をあげて、人気メニューのレシピを紹介する。
・偏食解消への工夫など「Q&Aコーナー」を設けて、専門的なアドバイスをする。
◆文例2◆給食試食会
本日の食事は、いかがでしたか。子どもの嗜好品の大半は、家庭で作ることができると言われています。園では薄味の料理を心がけ、仕入れ先を吟味し、食物アレルギーも考慮して、安心安全への配慮をしております。
【ポイント】
・保護者との連携と協力を図り、食育に対する園の方針を理解してもらう。
・偏食の子どもたちも思わず食べたくなるような色彩、味、形などの料理方法を、栄養士や調理員が一丸となって創意工夫していることを伝える。
◆文例3◆家庭での食育
「人の飯食わねば、人にならぬ」ということわざがあります。
たまには既製品もいいですが、家庭で作って食べる食事が何にも勝る食育です。そしてどんな高級レストランの食事より、家族と共にいただく食事が最高のご馳走ですね。それに愛情というスパイスをたっぷり振りかけてください。
【ポイント】
ことわざの意味
「人の飯食わねば、人にならぬ」
どんなに貧しい食事でも、愛情をもって作った食事で育てば立派な人になる。
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プロフィール:幼稚園教諭を経て幼児教育研究家として30数年。ことば遊び研究会講師、児童文化専門学院、国際学院埼玉短期大学講師、東京成徳短期大学非常勤講師を経て、現在は「言葉と心を大切に」をモットーに幼児教育研究家として教育研修会、実技指導、公開保育、講演活動を通して保護者、保育者の育児指導、教育相談を行っている。
(保育ナビ倶楽部 会員限定メールマガジン 2016年6月1日号「目指せ!スピーチマスター」から)