指導/齋藤二三子(さいとうふみこ)
■ 10月のスピーチ ■
いよいよ秋も本番です。気候もよく、秋の運動会や様々な遊びを通して、子どもたちの戸外活動は盛んになっていることでしょう。また、心身の成長も著しく、知的な遊びにも興味のある好奇心旺盛な子どもにとっても、楽しみな季節となりました。
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お悩みQ&A
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Q.
落ち着いて話を聞くのが苦手な子どもたち。ベテランの先生のように、子どもをグッと引きつけて、楽しく話をしたいのですが、なかなか上手くいきません。効果的な方法を教えてください。
A.
まず、「言葉」と「表情」が大事です。子どもの心に響き興味を引きつける言葉かけと、優しい笑顔が第一条件になります。ほかにも、以下のことを実践してみましょう。
①聞き手の年齢や発達に合わせて小物を用意する
話の内容に合わせて「玩具」「写真」「絵」などをポケットの中から取り出し、興味を引きつけます。
②一人ひとりの子どもと目線を合わせる
子どもたちは、最初は「先生、こっちを見て!」と必死に目線を送ってきます。けれど、しばらくすると、こちらを見てくれていないことに気づきます。そうなると、心が離れて、話を聞いてくれなくなってしまいます。
話し手は、子どもがこちらに視線を送っている段階で、相手の気持ちを意識しながら、子ども一人ひとりと目線を合わせるようにします。
③「ありがとう」の言葉を忘れずに
「お口チャック」「静かに聞きましょう」の注意ばかりでは息が詰まってしまいます。最後には「お話を聞いてくれて、ありがとう!」の言葉も忘れずに伝えましょう。
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季節の文例
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10月のテーマ・・・入園説明会・・・
◆文例1◆入園説明会①(幼稚園の保護者向け)
本日は、数ある幼稚園の中から、当園をお選びいただき感謝申し上げます。
当園は、幼児教育のねらいでもあります「心情、意欲、態度」が育つ教育内容を掲げ、創立○周年を迎えました。保護者や地域の方々と、共に力を合わせ、大事なお子さまを育てていけるよう、「保護者参加型」の楽しいイベントや保育内容で、保育を行っています。これから実際の保育の様子を、映像で見ながら解説を交えて、ご紹介します。
【ポイント】
・映像を通し、園の歴史や日々の子どもの姿をわかりやすく紹介し、親子で期待できるような説明をしていく。
・映像だけでなく、写真や子どもの作品も展示するとよい。
◆文例2◆入園説明会②(認定こども園の保護者向け)
当園は、幼稚園と保育園の機能を兼ね備えた幼保一元化施設として、地域に根差した子育てを実施しております。また、学童保育施設も併設し、0歳から12歳までの一貫教育を行うなかで「学童と乳幼児との共育ち」が実現しました。少子化時代の現代では、貴重な体験のできる場となっています。
【ポイント】
・自園の特徴を、具体例を交えながらわかりやすく伝える。
・在園児が遊んでいる姿を見てもらう。一緒に遊べるイベントも効果的。
◆文例3◆入園説明会③(保護者向け)
幼児教育の祖、フレーベルは「子どもは5歳までにその一生涯に学ぶすべてを学び終えるものである」と提唱しています。幼児教育を受けるこの時期は、幼児がその生涯にわたる人間形成の基礎を養う重要な時期です。
当園では、「遊びながら学ぶ」を教育方針として、今年度も充実した教育、よりよい環境づくりを、全職員が一丸となって行ってまいります。
【ポイント】
ことわざの意味
「子どもは5歳までにその一生涯に学ぶすべてを学び終えるものである」
ドイツの教育学者で幼児教育の祖と呼ばれる、フリードリッヒ・ウィルヘルム・A・フレーベルの言葉。幼児期の教育が、その人の生涯に大きく影響するものであることを説いた名言。フレーベルは「幼児の心の中にある神性をどのようにして伸長していけるか」ということに腐心し、小学校就学前の子どもたちの教育に一生を捧げた。
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プロフィール:幼稚園教諭を経て幼児教育研究家として30数年。ことば遊び研究会講師、児童文化専門学院、国際学院埼玉短期大学講師、東京成徳短期大学非常勤講師を経て、現在は「言葉と心を大切に」をモットーに幼児教育研究家として教育研修会、実技指導、公開保育、講演活動を通して保護者、保育者の育児指導、教育相談を行っている。
(保育ナビ倶楽部 会員限定メールマガジン 2016年10月1日号「目指せ!スピーチマスター」から)