指導/齋藤二三子(さいとうふみこ)
■ 11月のスピーチ ■
集団生活にも慣れ、よりたくましく育った子どもたちの成長を感じる11月。子どもの成長を祝う七五三。秋の自然の実りを祝う収穫祭。身近な社会に目を向ける勤労感謝の日など、様々な体験ができる季節となりました。
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お悩みQ&A
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Q.
日々の保育の中で、一人ひとりの子どもたちの「心と言葉に寄り添うアイコンタクトの取り方」をどのようにしたらよいか悩んでいます。効果的な方法を教えてください。
A.
アイコンタクトは、人や動物が本能的にもち合わせているコミュニケーション手段の1つです。
例えば、会話の最中などに、お互いに目を合わせることで、相手の心理的な反応(感情)を無意識のうちに読み取っています。このように、ノンバーバル(非言語)なコミュニケーションが可能だからこそ、相手の気持ちに配慮しながらスムーズな会話を進めることができるのです。これが「目は心の窓」とも呼ばれる所以でしょう。
私たち保育者は、子どもたちから清らかでかげりのない瞳を向けられた時に、何となく後ろめたい気持ちになったり、ドキリとしたりすることがありますね。また、まれに、子どものなかには無意識的にアイコンタクトを拒む「気になる子」もいます。このように、アイコンタクトには、子どもからのサインがたくさん詰まっています。
子どもの気持ちを受けとめ、対応するためには、どのような行動ができるとよいか、一緒に確認していきましょう。
1.話を聞いたり、話したりする時に、子どもに合わせ腰を低くし、目線を合わせている。
2.子どもたちの目線を把握し、たえず一人ひとりに意識を向けるようにしている。
3.今、子どもがどのような気持ちで話を聞いているのか、語りかけているのか、その心に寄り添い、順番にこだわらず万遍なく見渡して、アイコンタクトで反応している。
4.必ず言葉かけをしながら、アイコンタクトを取っている。
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季節の文例
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11月のテーマ・・・生活発表会・・・
◆文例1◆生活発表会①(幼稚園の保護者向け)
発表会は子どもの成長の1つをお披露目できる園の大事な行事です。
それだけに保護者の皆様も心待ちにしていたことでしょう。子どもたちもおうちの方々に観ていただけるのを楽しみに、それぞれ大好きな演目の練習を一生懸命していました。どうぞ最後までご一緒に、楽しみ、感動を共有してください。
【ポイント】
・保護者の関心も高まる行事なので、主体的に子どもがやりたい大好きな演目を、当日まで皆で交互に経験してきたことを具体的に伝えていく。
・園だよりで随時、日々の練習風景やエピソードを伝える。
◆文例2■生活発表会②(保育園・認定こども園の保護者向け)
可愛らしい未満児の発表では、日々の保育の場でうたったり、おどったりしているものをピックアップして、この舞台でお披露目します。また、日々、未満児のお世話を手伝ってくれている大好きな幼児組の子どもたちが、今日は一緒に参加してくれます。どうぞ保護者の方々も、一緒にうたっておどって、楽しんでください。
【ポイント】
・幼児組の成長ぶりと比較できるよう、プログラムの順番を工夫する。
・保育者も子どもと一体となって演じるようにする。
◆文例3◆生活発表会③(保護者共通)
本日はようこそお出でくださいました。
私たち職員も、発表会の準備に意欲的に取り組む子どもたちの日々の練習風景に感動し、本日お披露目できることを職員一同誇りに思っています。「子どもにはすべてに対して最も大きな可能性がある」というトルストイの名言があります。それぞれが“失敗なんて平気だよ”と楽しみながら一生懸命取り組み、頑張ってきたので、いっぱい認め、褒めてあげてください。
【ポイント】
ことわざ・名言の意味
「子どもにはすべてに対して最も大きな可能性がある」
ロシアを代表する文豪、レフ・トルストイの名言です。
すべての子どもたちに、すばらしい可能性があります。一人ひとりが、可能性のかたまりです。大人はその可能性を伸ばせるよう手助けをしていくことが大事です。保育者が日々の保育でどのように実践しているのか、具体的なエピソードを添えて伝えられるとよいでしょう。
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プロフィール:幼稚園教諭を経て幼児教育研究家として30数年。ことば遊び研究会講師、児童文化専門学院、国際学院埼玉短期大学講師、東京成徳短期大学非常勤講師を経て、現在は「言葉と心を大切に」をモットーに幼児教育研究家として教育研修会、実技指導、公開保育、講演活動を通して保護者、保育者の育児指導、教育相談を行っている。
(保育ナビ倶楽部 会員限定メールマガジン 2016年11月1日号「目指せ!スピーチマスター」から)