コラム

役立つ季節のスピーチ 3月

指導/齋藤二三子(さいとうふみこ)

■ 3月のスピーチ ■

楽しかった1年間もいよいよ締めくくりですね。卒園に向けた作品作りやお別れ会などのイベントを通し、思い出を話し合う子どもたちの姿が見られるこの時期。また、家庭でも進級や進学についての話題も増え、期待と不安でいっぱいな子どもたちに、心から楽しめる遊びの時間をたくさんつくってあげたいですね。

+++++++

 お悩みQ&A

+++++++

保護者など大勢の人を前にして話す機会が多いのですが、どうしても緊張してしまいます。あがらずに、リラックスして話すには、どのようなことに気を付ければよいでしょうか。

A

スピーチの内容にかかわらず、緊張をほぐすために下記のようなことに注意をするとよいでしょう。

1.まず保護者に参加のお礼を述べた後、日々の子どもの楽しいエピソードや、だれもが興味をもっている身近な話題など、スピーチの本題とはかかわりのない話題(本や新聞など最新ニュースで興味をもたれたこと)を話す。また、子どもたちが園で日々遊んでいる手遊びなど、親子のふれあいもできるような遊びを紹介し、お互いの緊張をほぐしておくのも効果的。

2.スピーチテクニックをマスターしておく。

・練習を軽視しない(内容を理解しておくと自信につながる)

・箇条書きにして内容をイメージしておく(具体的な事例を盛り込む)

・沈黙を恐れない(「えー」「そのー」などのつなぎ言葉を増やさず、ゆっくりと落ち着いて)

・アイコンタクトは万遍なく(ポイントでメモを見るなどして、たくさんの人と目線を合わせながら心をつなげる)

・自分らしく話す(原稿を丸暗記するのではなく、難しい熟語や言い回しは避け、わかりやすい言葉を選ぶ)

+++++++

 季節の文例

+++++++

3月のテーマ・・・卒入園・・・

◆文例1◆入園説明会(保護者へ)

 本日はようこそ、当園説明会にお集まりくださいまして、ありがとうございます。早速、園庭で在園児と共に元気に遊ぶお子さんや、ちょっぴり不安そうなお子さんの姿を拝見し、一人ひとりに合った環境を整えようと、こちらも心躍りうれしい限りです。本日は園の特徴やお願いごとなどを、簡単にご説明させていただきます。その後、園の様子や園児たちの姿を、時間の許す限りご覧になっていただきます。気になることや、わからないことがございましたら、何なりとご質問をなさってください。

【ポイント】

・説明会への参加に感謝し、明るく温かな雰囲気を演出する。

・これからの園生活で保護者と共に何を育てていくかを簡単に伝え、園の方針や基本的な生活習慣などのポイントを文書にして手渡すとよい。

・入園後の子どもの姿がイメージできるよう、子どもの発達や具体的な活動を紹介する。

◆文例2◆卒園式(子どもへ)

皆さん、ご卒園おめでとうございます。すっかりお兄さんお姉さんになり、卒園証書を受け取る姿もとても立派でした。仲良しだったお友だちのほかにも、これから友だち100人できるかな。皆さんなら大丈夫。学校に行ってもいろいろなことにチャレンジしていきましょうね。先生方や、やさしいお兄さんやお姉さんも応援していますよ。園にもいつでも遊びに来てくださいね。

「あいうえお」のお祝いの言葉を送ります。「あかるく、いつも笑顔いっぱい、うえを向いて、えいえい、おう! がんばるぞ」

【ポイント】

・卒園後も見守っていることを伝える。

・卒園児一人ひとりの成長した姿を具体的にほめる。

・自信をもって学校生活が送れるよう、期待がもてる話を織り込む。

◆文例3◆卒園式(保護者へ)

皆さま、お子さまのご卒園、まことにおめでとうございます。おかげさまで、保護者の皆さまのご協力の賜物で、このような誇りに満ちた子どもたちの笑顔と姿が見られる卒園式を迎えることができました。

園生活の中で、一人ひとりがいろいろな経験を通して自分らしさを磨いてきました。「子どもは、すべてに対して、もっとも大きな可能性がある」というトルストイの名言通り、これからもたくさんの経験を通して、その子らしい大きな可能性の芽を育てていくことでしょう。

【ポイント】

ことわざ・名言の意味

「子どもは、すべてに対して、もっとも大きな可能性がある」

ロシアの小説家、トルストイの言葉です。すばらしいですね。文字通り、子どもは可能性の塊です。これからもたくさんの経験を通してその子に合ったその可能性を認め、ほめ、それを伸ばす手助けをしてあげたいですね。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++

プロフィール:幼稚園教諭を経て幼児教育研究家として30数年。ことば遊び研究会講師、児童文化専門学院、国際学院埼玉短期大学講師、東京成徳短期大学非常勤講師を経て、現在は「言葉と心を大切に」をモットーに幼児教育研究家として教育研修会、実技指導、公開保育、講演活動を通して保護者、保育者の育児指導、教育相談を行っている。

保育ナビ倶楽部 会員限定メールマガジン 2017年3月1日号「目指せ!スピーチマスター」から)

PAGE TOP