コラム

役立つ季節のスピーチ 4月

指導/齋藤二三子(さいとうふみこ)

■ 4月のスピーチ ■

新入園児を迎え、園では賑やかな季節を迎えていらっしゃることでしょう。
人前で話をする機会が多い仕事柄、スピーチの悩みを抱えていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。

これから1年間、スピーチマスターになるための秘訣をお届けします。

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 お悩みQ&A
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Q.
スピーチでは、いつも言いたいことがたくさんあって、早口になってしまいます。後からほかの職員や保護者から「聞き取りにくかった」とよく言われてしまいます。

A.
保護者も子どもも期待と不安でいっぱいの入園式、ついついこちらも緊張し興奮すると早口になりがちですね。また、伝えたい事柄がたくさんあるとどうしても早口になってしまいます。

まず、笑顔で皆さんを迎え、どっしりと構えましょう。そして、何より事前準備が大切。伝えたい事柄を箇条書きに書き出してください。つい多くなりがちですが、その中でどうしても伝えたい事柄を1つに絞ってみます。施設の立場や特色や注意事項などは最小限にし、後日の保護者会で話すことを伝えます。

例えば、「当園では“挨拶言葉”を大切にしています。挨拶は人と人の気持ちをつなぐ大切な言葉です。いつも職員一同大切にしています」など、保護者が「この園でよかった」「登園させるのが楽しみ」と安心して子どもを園に託せるよう信頼関係を第一に考え、子育ての喜びを共有、共感できるように伝えられるといいですね。また、早口にならぬよう日頃から意識して語尾をはっきり話すことを心がけると、相手の方もとても聞き取りやすくなりますよ。

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 季節の文例
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4月のテーマ・・・「自己紹介」・・・

◆文例1◆新年度保護者会

私が〇代目園長の〇〇です。どうぞよろしくお願いいたします。
お陰様でいつもかわいい子どもたちや皆さまにパワーをいただき、また幸せを願いながら早〇年が経ちました。古くからのことわざに「千の倉より子は宝」と言われています。私の一番の宝は当園の子どもたちです。

【ポイント】
・園長としての経歴や年数、趣味、得意なことなど、プライベートな面も紹介すると、保護者に親しみを感じてもらえます。
・趣味の音楽などは、ジャンルの好みを伝える程度にして、好きなアイドル名などは避け、誤解されないよう差し障りのない程度にしましょう。

 

◆文例2◆新年度保護者会

本日はご多忙の中お集まりくださいまして、誠にありがとうございます。
すでにご存知の方もおいでと存じますが、私が園長の〇〇でございます。
園の職員みんなで毎朝園児と一緒に園庭の草花に水やりをしながら、かわいい子どもたちとのふれあいを楽しんでおります。

【ポイント】
・職員が一丸となって、子どもたちの日々の変化に目配りをしている様子を伝えましょう。
・ほほえましい子どもの様子を、保育者と違う目線のエピソードで伝えるといいでしょう。

 

◆文例3◆新年度保護者会

本日を職員一同心待ちにしておりました。入園後早1か月が経ち、ご心配なこともたくさんありますね。
「子故に迷う親心」「子を持って泣かぬ親はない」等のことわざ通り、親はいつの時代も心配の種が尽きません。どうぞ、些細なことと思わず担任や園長、主任にご遠慮なくご相談ください。
職員が一丸となって対応させていただきます。

【ポイント】
ことわざの意味
「子故に迷う親心」
親は子どもを心配するあまり、理性を失って、正しい分別がつかなくなる。
「子を持って泣かぬ親はない」
子育てはとても大変なので、どんな親でも泣かされるほど苦労している。

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指導/齋藤二三子(さいとうふみこ)
プロフィール:幼稚園教諭を経て幼児教育研究家として30数年。ことば遊び研究会講師、児童文化専門学院、国際学院埼玉短期大学講師、東京成徳短期大学非常勤講師を経て、現在は「言葉と心を大切に」をモットーに幼児教育研究家として教育研修会、実技指導、公開保育、講演活動を通して保護者、保育者の育児指導、教育相談を行っている。

保育ナビ倶楽部 会員限定メールマガジン 2017年4月1日号「目指せ!スピーチマスター」から)

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