指導/齋藤二三子(さいとうふみこ)
■ 7月のスピーチ ■
いよいよ梅雨が明け、夏の暑さが盛りのこの時季、日本古来の年中行事として、保護者と共に行っている七夕祭りや夏祭りなど、子どもたちにとっても楽しい行事満載の7月。
園と保護者、そして地域の方々と楽しい交流ができる季節ですね。
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お悩みQ&A
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Q.
夏の様々な行事の度に、保護者や地域の方へ向けたスピーチをすることが多くなるのですが、特に気をつけなければならないことはありますか。
話題選びにも困っています。
A.
気をつけておきたい3つの点について、お伝えします。
1.話題選びに注意する
まず、参加者に感謝の気持ちを伝え、場を和ませる話題を考えます。
日頃の子どもたちの様子をエピソードとして紹介し、参加者全員に理解してもらえる共通の話題を話します。例えば、日頃から座右の銘、時事問題や流行などをチェックしておくとよいでしょう。ただし、政治や宗教など個々の思想にかかわる話題は避けたほうがよいでしょう。
2.話の目的を明確にする
挨拶は「単純明快で、短い方が好まれる」と言われるように、お願いしたい注意事項などポイントを絞って「1つ目は~、2つ目は~」のように伝えてみます。
言い忘れがないようにメモを用意しておくのもよいでしょう。
3.第一印象に気を配る
服装や姿勢など、園長としての第一印象に気を配り、行事の目的に合った服装に気をつけましょう。話し方は抑揚をつけ、表情豊かで快活な印象となるよう心がけましょう。
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季節の文例
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7月のテーマ・・・夏の行事・・・
◆文例1◆お泊り保育
いよいよ待ちに待ったお泊り保育です。子どもたちは期待に胸を躍らせ、ご家庭での親子の会話を嬉々として話し、職員一同とてもうれしく楽しみにしておりました。しかし、子どもたちが初めて親元から離れて過ごすことに、皆さまは不安と期待で一杯でしょう。子どもたちにとっては大きな自信につながり、自立できる絶好のチャンスです。
【ポイント】
・非日常的なお泊り保育は保護者にとって不安と期待でいっぱいの行事。前年度の具体的なエピソードを伝え、安心できるよう配慮する。
・過剰な心配を避けるためにも、事前に注意事項、子どもの持ち物、保育活動の流れを文書にするなどして具体的に伝える。親子にプレッシャーを与えず安心して参加できるよう個々の小さな不安も受け止めるよう配慮する。
◆文例2◆夏祭り(保護者向け)
子どもたちは保護者の皆さまと一緒に夏祭りを行うことを、大変心待ちにしておりました。昔から夏祭りは、夏の間、病気にならずに無事に過ごせるよう、また、災いが起こらないようお祈りする意味が込められていました。当園ではご家族と一緒に楽しんでいただけるよう、役員の皆さまと力を合わせて企画いたしました。
【ポイント】
・保護者に対して、夏祭りイベントの準備の協力に感謝の気持ちを表し、安全、安心対策にも十分注意をするよう伝えていく。
・夏祭りの意義や目的を理解してもらい、地域の人々との交流の場であることを伝え、力を合わせて楽しい会をつくっていくようお願いする。
◆文例3◆夏祭り(地域の方向け)
皆さまには日頃より当園の子どもたちを温かく見守り、お声かけと応援をしていただき、ありがとうございます。心から御礼申し上げます。地域の皆さまには、日頃より温かく見守っていただいておりますが、「苦言は薬なり、甘言は病なり」ということわざを心にとめて、時には厳しい言葉がけで導いていただければと思います。これからもより良い園づくりをめざして、地域と共に歩んでまいります。本日は日頃の感謝を込めてご招待させていただきました。最後までごゆっくりお楽しみくださいませ。
【ポイント】
ことわざの意味
「苦言は薬なり、甘言は病なり」
苦言は聞くには好ましくないけれど、身のためになる薬。甘言は聞くと気持ちがよいけれど、身を誤る病気のようなものである、という意味。
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プロフィール:幼稚園教諭を経て幼児教育研究家として30数年。ことば遊び研究会講師、児童文化専門学院、国際学院埼玉短期大学講師、東京成徳短期大学非常勤講師を経て、現在は「言葉と心を大切に」をモットーに幼児教育研究家として教育研修会、実技指導、公開保育、講演活動を通して保護者、保育者の育児指導、教育相談を行っている。
(保育ナビ倶楽部 会員限定メールマガジン 2016年7月1日号「目指せ!スピーチマスター」から)