コラム

役立つ季節のスピーチ 12月

指導/齋藤二三子(さいとうふみこ)

■ 12月のスピーチ ■

いよいよ学期末。陰暦では12月を「師走(しわす)」と呼びます。師走の語源は諸説あるようですが、一般的には「僧侶がお経をあげるために忙しく東西を馳せる月」であったことから示されるように、12月は何かと慌ただしいものです。この時季、子どもたちの成長の様子を保護者と共に喜び合い、日本の文化にふれる年末年始の行事も親子で一緒に楽しみたいですね。

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 お悩みQ&A

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Q.

保護者が集まる行事などでは、話したい内容をあらかじめ用意した原稿通りに話すことが多くなってしまいます。

「自分の言葉で話したい」と、いつも悩んでいますが、そのためのテクニックを教えてください。

A.

難しい熟語や言い回しも大切ですが、原稿を丸暗記せず、わかりやすい言葉を選びましょう。

自信をもって話すためのポイントをまとめてみました。

1.具体的な事例を織り込むことで、話の内容がグッと興味深くわかりやすくなるため、日頃から職員と子どもや子ども同士の会話に耳を傾け、自分が感動した経験を保護者に伝えられるよう書き留めておく。

2.今、聞き手が何に興味・関心をもっているかを把握しておく。当日の話題に関連した、最新の世の中の出来事を盛り込みながら、自身の考えを述べる。ただし、政治や宗教に関する話題や偏った意見は避け、誤解が生じないよう気をつけて話す。

3.沈黙を恐れると「えー」「そのー」といった“つなぎ言葉”が多くなるため、沈黙を恐れず、ゆっくりと落ち着いて話すよう心掛ける。「あれ? 大事なことを忘れましたね」などとユーモアを入れ、機知に富んだ言葉を用意しておく。

4.スピーチの時間に合わせて、聞き手の心を和ませる。子どものエピソードや原稿を余分に用意しておき、加えていくとよい。

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 季節の文例

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12月のテーマ・・・新年の準備・・・

◆文例1◆餅つき1(保護者へ)

皆さま、本日は師走のお忙しい中、ようこそ恒例の餅つき会においでくださいました。おかげさまで、餅のつき手をお申し出くださいました保護者の方や地域の方のおかげで、開園以来、日本伝統文化であります餅つきを、子どもたちに経験させてあげられて、大変うれしく心から御礼申し上げます。

【ポイント】

・園行事に参加・協力してくださる方への感謝の気持ちを伝える。

・日頃、見守ってくださる地域の人々との交流の場となるよう配慮する。

◆文例2◆餅つき2(園児へ)

もうすぐ心待ちにしているお正月がやってきますね。餅つきは、昔から特別なお祝いの日に行ってきました。特に鏡餅には、毎年お正月にやってくる「歳神様(としがみさま)」が宿ると言われています。そのため「新しい年が幸せな1年でありますように」と願いを込めてお餅をつき、お供えをしてきました。お餅はどんなかな? 触って、においをかいでみましょう。そして、味はどんなかな? 今日は頑張ってお餅をついて、みんなで食べましょうね。

【ポイント】

・餅つきの由来など、日本の伝統文化の継承についても伝えていく。

・臼や杵などの道具の名前を知らせ、餅つきが五感を使った食育体験であることを伝える。

◆文例3◆新年会(園長から職員へ)

さて、皆さんは新しい年に向けてどのような計画を立てられましたか? 昔から「一年の計は元旦にあり」ということわざがありますね。私は運試しにおみくじを引きましたら「吉」と出ましたよ。「吉」に甘んじることなくこれから「大吉」をめざし、先生たちと共に一歩ずつ改善し、身近なことから努力して、子どもたちの幸せを願っていきたいと思います。

【ポイント】

ことわざ・名言の意味

「一年の計は元旦にあり」

言葉の由来は諸説あるようですが、有力な説として、安芸(現在の広島県)の戦国大名、毛利元就の言葉というものがあります。色々な解釈が伝わっていますが、「物事を始める場合は、最初にきちんとした計画を立てることが大事だ」という意味です。

今回のメルマガはいかがだったでしょうか。また、次回もよりよい情報をお届けしますので、どうぞお楽しみに!

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プロフィール:幼稚園教諭を経て幼児教育研究家として30数年。ことば遊び研究会講師、児童文化専門学院、国際学院埼玉短期大学講師、東京成徳短期大学非常勤講師を経て、現在は「言葉と心を大切に」をモットーに幼児教育研究家として教育研修会、実技指導、公開保育、講演活動を通して保護者、保育者の育児指導、教育相談を行っている。

(保育ナビ倶楽部 会員限定メールマガジン 2016年12月1日号「目指せ!スピーチマスターから)

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