コラム

コラム 園のパフォーマンスを上げる「職場づくりのヒント」 第6回

師岡章(白梅学園大学子ども学部教授)

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第6回 仕事としての保育への期待感を高める内定者対応

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 職場の活性化を図るためには、新たな人材を迎え、育てていくことも大切です。特に私立園では年度末に内定者を迎え、研修を始めるケースが見られます。

 そこで、今回は内定者への対応に視点をあて、新人保育者が4月から意欲的に仕事に取り組めるための土台づくりを考えていきたいと思います。

◆不安・緊張をほぐすことを大切に!

 学生から社会人となる時期は、期待感よりも不安感・緊張感が高いようです。そのため、内定者研修に赴くものの、動きが硬く、本来の力が発揮できないケースも見られます。

   だとすれば、内定者研修でまず優先すべきことは、不安感や緊張感を緩和させてあげることでしょう。例えば、お茶を飲みながら、学生生活や趣味などの話題で互いに盛り上がる。あるいは、園のスタッフの個性や特徴を楽しく紹介する。こうした互いの人柄を感じ取れるような機会を設けると、内定者もホッとできることでしょう。

 本格的な歓迎会を開催する以前に、こうしたサロン的なお付き合いから始めると、内定者の不安感や緊張感もほぐれ、期待感が高まることでしょう。期待感の高まりは、自分から仕事を覚えようとする意欲にもつながるはずです。「急がば回れ」といった発想に立ち、温かな対応を心がけてほしいと思います。

◆「教える」ことも忘れずに!

 「見て、盗め!」「感じ取れ!」

 ストレートにこんな物言いをする人は少ないとは思いますが、内定者対応の節々に、これに近い態度をとる先輩保育者もいるようです。確かに、保育は「実践」ですから、先輩保育者の一挙手一投足に目を向け、「教えられる」のではなく、自ら感じ取り、適切な子どもへの対応を見つけ出していかねばなりません。

 ただ、「わからないことがわかっていない」時期とも言える内定者に対し、いきなり、こうした姿勢を求めても、本人たちは困惑するだけでしょう。

 そこで、先輩保育者の皆さんに大切にしてほしいのが「教える」姿勢です。

 先ほども述べたように、保育は「実践」ですから「一から十」まで教えきることは難しいでしょう。ただ、園の保育方針として守ってほしいことや、身に付けてほしい手順・段取りはあるはずです。それを教えない段階で、自分で考えることを求めるのは酷でしょう。経験がないからこそ、大切にしてほしいことを先輩保育者がしっかり伝える必要があるはずです。こうした重視すべき点を言語化する作業は、結果として先輩保育者の力量アップにもつながることでしょう。

◆「結果」より「努力」を認めよう!

 子どもの命を預かり、なおかつ、成長・発達を支える営みである保育を担う者にとって、大きな失敗は許されません。特に、クラス担任として保育にあたるうえでは、姿勢だけでなく、結果として、こうした営みを展開していく責任が生じます。

 ただ、保育者も人間ですから失敗はつきものです。まして、経験がない内定者は失敗の連続でしょう。だとすれば、内定者に対しては、4月以降、失敗をできるだけ少なく、かつ小さいものにしていけるような指導が必要となるでしょう。

 そのためには、まず失敗に気付いてもらうことが大切になるでしょう。そのうえで、失敗を隠さず、先輩に相談する姿勢をもってほしいと思います。

 こうした姿勢を育むためには、内定者が試みたことの「結果」よりも「努力」する姿に目を向けることが大切になるでしょう。内定者はもとより、新人時代は努力、あるいは工夫や挑戦していくプロセスを認めることが大切です。こうした先輩保育者からの支えを基盤に、若手も職場の重要な一員として成長していくのだと思います。

 なお、内定者を含めた若手保育者の具体的な育成方法については、2018年8月にフレーベル館から上梓した拙著『若手保育者の育成法~組織の活性化は若手の成長がカギ!』( https://www.froebel-kan.co.jp/book/detail/9784577814512/ )をご参照いただければ幸いです。 (完)

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プロフィール:白梅学園大学教授。幼稚園教諭・保育士として勤務後、保育研究者の道に。東京学芸大学大学院修了。著書に『食を育む』『若手保育者の育成法 ―組織の活性化は若手の成長がカギ!』(フレーベル館)、『子どもらしさを大切にする保育~子ども理解と指導・援助のポイント』(新読書社)、『保育カリキュラム総論~実践に連動した計画・評価のあり方・進め方』(同文書院)ほか多数。

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