コラム

コラム 園のパフォーマンスを上げる「職場づくりのヒント」 第1回

師岡章(白梅学園大学子ども学部教授)

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 第1回 同僚性の創出

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「全職員がいきいきと働く職場にしたい!」

 園をリードする立場の人であれば、誰でも願うことでしょう。 ただ、願っているだけで、よりよい職場づくりが進むものではありません。 そこで、本連載ではよりよい職場づくりのヒントを紹介していきたいと思います。

◆「同僚性」に注目しよう!

 「同僚性」という言葉を聞かれたことがあるでしょうか? 保育図書・雑誌などで取り上げられる機会が増え、2016年度「保育ナビ」の筆者の連載でも取り上げていますので、ご存じの方も多いと思います。

 この言葉は、学校改革を進める上で、職員集団を「学びの共同体」にすることが大切だと考えた、教育学者の佐藤学氏が提唱したものです。具体的には「相互に実践を高め合い専門家としての成長を達成する目的で連帯する同志的関係」(佐藤学『教師というアポリア~反省的実践へ』世織書房、1997)と定義されています。

 つまり、「同僚性」とは職員同士の仲が良く、足並みを揃えて仕事に向かうといった、いわゆる「同調性」とは異なり、職員同士が保育のプロとしての自覚をもち、尊重し合いながら、連携・協力して保育を展開する状態を指す言葉です。

 わが園の職員同士の間に「同僚性」があるのか? ないのか?

 保育の質の向上を図る上で、大切な視点となるでしょう。

◆「同僚性」を生み出すためには・・・

【その1】改めて、話し合いを大切にしよう!

 「同僚性」を創出するためには、職員同士が忌憚(きたん)なく話し合うことがとても大切です。言葉でコミュニケーションを取り合うことは、互いに関心を向けるよい機会にもなるでしょう。感じていることや考えていることを互いに言葉にし、伝え合う中で相互理解を進めていきましょう。日常的にこうしたやりとりを大切にすることが、「同僚性」を生み出す第一歩になると思います。

【その2】「批評」と「非難」を区別しよう!

 ただ、互いに関心をもち合うと、時に気になる姿も見えてきます。そんな時こそ、対等な立場で意見を交わし合う姿勢を促していきましょう。

 その際、大切にしたいのが「非難」と「批評」を区別する姿勢です。

 例えば、相手の人格を否定するような発言や、感情的に責め立てるような発言は「非難」と言えるでしょう。これでは互いの関係も悪化します。一方的に「非難」された側は自信を失うことにもなるでしょう。ですから、気になる姿があった場合は、その仕事ぶりの疑問点・問題点を冷静かつ客観的に指摘し合うこと、つまり「批評」し合う姿勢が大切になるのです。切磋琢磨できる職員集団をつくるためにも、相手への思いやりをベースにした「批評」し合う姿勢を育んでいきましょう。

【その3】共同作業を通して「同僚性」を向上させよう!

 職員同士で共同作業を進めることは「同僚性」を高めるよい機会となります。

 仕事を効率的に進めるためには、役割分担を明確にし、責任をもってそれぞれの業務を担うことも大切ですが、それだけでは接点をもち合う職員も限られてしまいます。

 保育現場では行事の準備など、園全体で取り組む仕事も多いだけに、それらを一部の職員任せにせず、経験年数や立場を超えて一緒に作業していきましょう。

 このように、体を動かしながら、同じ目的に向かって作業し合うと、互いの人間性もより深く理解することができるでしょう。

 また、園によっては、同学年のクラス担任全員で、各保育室の掃除を行うところもあります。そして、掃除をしながら、その日の保育を話し合うことで互いの本音が見え、学年会議もスムーズになったと言います。こんな取り組みもよいヒントになることでしょう。

◆生み出された「同僚性」を職員の資質向上につなげよう!

 保育の質を向上させるためには、職員の資質、また専門的力量の向上が不可欠です。

 だとすれば、「同僚性」の創出、また向上も、職員の資質向上につなげていかねばなりません。互いの課題を把握し、助言し、高め合う関係。こうした関係性を生み出すことも、同僚性を創出する大切な目的なのだと思います。頑張ってください!

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プロフィール:白梅学園大学教授。幼稚園教諭・保育士として勤務後、保育研究者の道に。東京学芸大学大学院修了。著書に『食を育む』(フレーベル館)、『子どもらしさを大切にする保育~子ども理解と指導・援助のポイント』(新読書社)、『保育カリキュラム総論~実践に連動した計画・評価のあり方・進め方』(同文書院)ほか多数。

(保育ナビ倶楽部 会員限定メールマガジン 2018年4月1日号から)

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