コラム

コラム 知っておきたい!園経営の視点 第11回

桑戸真二(株式会社フレーベル館保育経営アドバイザー)、黒羽 昭(公認スポーツ指導者)

日本の子ども、特に小・中学生の体力・運動能力の低下が叫ばれるようになって久しいですが、今号では、その原因を探りながら、幼児期に運動をする重要性、体育教室でインストラクターによる指導を受ける効果について、公認スポーツ指導者である黒羽昭氏にお話を伺いました。

桑戸:

文部科学省より、1985(昭和60)年頃と比較して子どもの体力・運動能力の低下が指摘されていましたが、現代の子どもに何が起きているのでしょうか? その原因は何だと思われますか?

黒羽:

体育指導を40年務めて参りました黒羽昭です。どうぞよろしくお願いいたします。

子どもの体力・運動能力の低下の原因は、近年の子どもを取り巻く環境、日常的に体を動かす遊びの時間や仲間、空間が縮小していることにあると思います。遊ぶ環境が徐々に縮小してきたことが、結果として体力・運動能力の低下につながっていると考えます。

園長先生方も、転びやすい子、大きなけがをする子が増えたと感じておられるのではないでしょうか。

桑戸:

子どもに運動を勧める論理的な根拠や効果的な時期はあるのでしょうか?

黒羽:

幼児期は、運動を習慣化しやすく、また、身体の基礎固めができる絶好の時期です。まず、子どもは普段の遊びの中で自然と学び、面白い、楽しいと感じたことを継続するので運動を習慣化しやすくなります。そして、運動を習慣化すると、身体の機能が高まってきます。身体機能の中でも特に、神経系の発達を促進することができます。

これは「スキャモンの発育・発達曲線」に基づいたもので、神経系の発達は、5歳頃までに80%、12歳までにほぼ100%になるため、幼児期の運動が大いに重要なのです。

桑戸:

幼児期こそが最大のチャンスなのですね。

黒羽:

そうです。私は、子どもの成長を五重塔に例えています。五重塔の土台が0~3歳、塔の1段目から3~5歳(幼児期)、小学生(児童期)、中学生、高校生、大学生と考えます。そして、土台である0~3歳、それから幼児期の発育の基盤をしっかり固めておかないとそれ以上には成長しないと考えています。さらに、最も運動技能が発達する小学校5~6年生頃の『ゴ―ルデンエイジ』に飛躍的に技能を向上させるには、土台である0~3歳から小学生の時期に体の動作を多く経験し、神経系を刺激することが非常に重要なのです。

桑戸:体育教室では、専門家であるインストラクターが教えていますが、インストラクターによる指導の特徴を教えてください。

黒羽:

インストラクターは、子どもの潜在的な運動能力を引き出すよう指導します。理論性やねらいを持った指導カリキュラムに則って指導をするだけでなく、客観的に一人ひとりの子どもの個性に合った臨機応変な指導をしています。

例えば、運動が苦手な子どもに対しては、インストラクターが理論的に教えるだけでは子どもの体がついて行かない時、インストラクターはどのように伝えたら克服できるかと子ども一人ひとりのことを考え、様々な観点からアドバイスをします。

また、インストラクターは、子どもに楽しさや厳しさといった緩急を交えた指導を行い、子どもの人格形成の素地が養える環境も提供します。指導を通して子どもの「元気、やる気、根気」を育みます。

桑戸:

インストラクターの指導による運動を通して、子どもはどのような成長をしていくのでしょうか?

黒羽:

体育指導を受けた子どもは、運動を通してスピード、全身持久力、瞬発力、筋力、筋持久力、柔軟性、敏捷性、リズム、反応、バランスの「身体的基礎力」を身に付けます。また同時に、「精神的基礎力」「知的基礎力」も身に付きます。精神的基礎力とは、集中力、行動力、共有力、忍耐力、挑戦力、協調力です。知的基礎力とは、思考力、記憶力、表現力、発想力、対応力、判断力、決断力、直感力です。これら3つの基礎力を身に付けた子どもは、安易に転ぶことや、大きなけがをすることがなくなります。

さらに、3つの基礎力をバランスよく身に付けることによって、子どもの可能性は大きく広がります。

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桑戸真二・プロフィール:一般財団法人総合福祉研究会理事、NPO法人福祉総合評価機構専務理事、(株)福祉総研代表取締役。(株)フレーベル館保育経営アドバイザー。幼稚園・保育園から認定こども園への移行に関するコンサルティングなどを多数手がける。関係省庁・団体とのつながりも深い。

黒羽 昭・プロフィール:株式会社ジャクパ副社長、公認スポーツ指導者。一般社団法人東京都レクレーション協会理事、一般財団法人日本バウンドテニス協会評議員、東京都バウンドテニス協会理事長、NPO法人日本Tボール協会理事。

保育ナビ倶楽部 会員限定メールマガジン 2017年2月15日号「コンサルタント・桑戸的な視点」から)

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