コラム

コラム 知っておきたい!園経営の視点 第4回

桑戸真二(株式会社フレーベル館顧問)、岩崎文昭(弁護士・公認会計士)

■ 第4回「ガバナンス」「コンプライアンス」「内部統制」■

社会福祉法の改正が成立した昨今、園長先生方の間で「ガバナンス」「コンプライアンス」「内部統制」という言葉が頻繁に飛び交うようになりました。

今回の『桑戸的な視点』では、改正社会福祉法を念頭に置きつつ、就学前子ども施設を運営する法人として「ガバナンス」「コンプライアンス」「内部統制」をそれぞれどのように捉えればよいのか、弁護士の岩崎文昭先生にうかがってみました。

●「ガバナンス」について

改正社会福祉法では、経営組織のガバナンスの強化を最初に掲げていますが、岩崎弁護士はどのように解釈していますか?

<回答>

鳥飼総合法律事務所の岩崎です。よろしくお願いします。

ガバナンスは、一般的に経営者に対する監視ないし規律付けという意味合いで使われています。

改正社会福祉法により、社会福祉法人のガバナンスは非常に強化されましたので留意が必要です。具体的には、理事長は、独断で重要な財産の処分や重要な職員の採用等をすることができなくなりました。これらの重要な意思決定は、法定の必置機関となった理事会でなされる必要があります。また、従前は諮問機関にすぎなかった評議員会が議決機関となり、理事や監事といった法人役員の選任及び解任をすることが明記されました。さらに、理事長の業務執行や計算書類については、監事の監査(業務・会計)対象になります。経営者である理事長は、評議員、評議員会、理事長以外の理事、監事等から監視・監督される立場になります。

これらのガバナンスの仕組みは、コンプライアンスの充実のためにも重要です。評議員会や理事会での活発な討議を経て、監視、監督を実効性のあるものにするためには、招集通知の発送や議事録の作成等改正社会福祉法に定める手続きの遵守が非常に重要になります。

●「コンプライアンス」について

コンプライアンスの充実、あまり聞きなれない表現ですね。どのような意味でしょうか?

<回答>

コンプライアンスは、一般的に法令遵守のみならず社会の要請にも応え、社会的責任を果たすという意味合いで使われるようになっています。

就学前子ども施設を運営する社会福祉法人を例にとった場合、コンプライアンスを充実化するためには、まず、法人として遵守すべき法令や社会のルールを職員が守るべきルールとすることです。これらルールは就業規則や規程類に明記し、研修等を実施し、職員へ周知する必要があります。そして、ルールに違反する不適切な行為等があればペナルティを科すことで、ルールの遵守を徹底する必要もあります。

●「内部統制」について

内部統制とは、どういうことでしょうか。

<回答>

内部統制は、リスクの評価と対応、統制活動、モニタリング等の要素から構成され、業務に組み込まれるプロセスのことをいいます。

つまり、法人が行う事業活動のすべての業務においてルール遵守を徹底するために、内部統制機能を強化する必要があるということですね。

<回答>

そうです。コンプライアンスを具体的に達成するための手段として、内部統制を構築・運用することが考えられます。

具体的には、法人の業務に内在するリスクを分析・評価し、リスクの発生可能性や影響度に応じて予防的統制(職務分掌や承認手続)及び発見的統制(帳簿と現物及び証憑等との定期的な突合)を日常の業務手順の中に組み入れる必要があります。さらに、リスクが高い業務については、計画的に内部監査を実施し、自浄作用を高めることも考えられます。

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桑戸真二・プロフィール:一般財団法人総合福祉研究会理事、NPO法人福祉総合評価機構専務理事、(株)福祉総研代表取締役。(株)フレーベル館顧問。社会福祉法人の新規設立・複合施設の企画・立案等を多数手がける。関係省庁・団体とのつながりも深い。

岩崎文昭・プロフィール:早稲田大学政治経済学部卒。大手監査法人勤務を経て、鳥飼総合法律事務所入所。医療法人及び社会福祉法人等の行政対応並びに株式会社の内部統制の構築の場面において、法的助言を行っている。弁護士・公認会計士。

保育ナビ倶楽部 会員限定メールマガジン 2016年7月15日号「コンサルタント・桑戸的な視点」より)

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