桑戸真二、安岡知子

■ 第1回 マイナンバー ■

今月のテーマは、マイナンバーです。園のマイナンバー対策は順調でしょうか?「うちの園ではマイナンバーを扱わない。社会保険労務士事務所、税理士事務所に業務委託しているからね」と大船に乗ったつもりの園長先生もいらっしゃるようです。安心するのはちょっと早いですよ。業務委託先の監督義務は、法人にあるのです。とはいえ、先生業の委託先を園はどう監督できるでしょうか。どうアプローチしたらよいでしょうか。実は私自身も悩みどころであるので、ここは特定社会保険労務士、安岡先生にアドバイスをしてもらいましょう。

<アドバイス> 

 園のコンサルタントをしております安岡です。よろしくお願いします。確かに、専門家を相手に監督だなんてハードルが高いと思われるのもわかります。しかし、法人には①委託先の適切な選定、②委託先に安全管理措置を遵守させるために必要な契約(もしくは覚書)の締結、③委託先におけるマイナンバーの取扱状況の把握、が求められています。

 マイナンバーの取扱状況を把握するには、委託先事務所を立入り調査という方法がありますが、それを受け入れる事務所はおそらくないでしょう。なぜなら、多くの取引先を抱えており、取引先の分だけマイナンバーを取り扱いますので、安易に外部の人をマイナンバーの取扱区域や管理区域に入室させることは考えられません。そこで、私は、正式な文書にて確認を取ることをお勧めしています。委託先向けにマイナンバーの取扱状況に関するチェックリストを作成し、委託先の責任ある立場の方のお名前で、虚偽なく回答いただくという方法です。

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安岡先生、ありがとうございます。次に、園に来てもらっている英会話やリトミックの講師の先生(個人)にお支払いする報酬は、10.21%の源泉徴収税額を控除し、園から直接税務署に納付しなくてはいけないことをご存知でしょうか? 「もちろん知っていますよ」と胸を張っておっしゃる園長先生には、さらにおうかがいします。源泉込みの年間合計報酬額(1月~12月)が5万円超になる場合、講師の先生にマイナンバーを提供していただく必要があることをご存知でしょうか。法人にはマイナンバーを記載した法定調書を税務署に提出する義務があるからです。そうですよね、安岡先生。

<補足説明>

 念のため、税務署に確認しましたが、そのとおりです。個人の講師の先生だけでなく、個人の社労士、税理士、園医の場合であっても、同様です。そして報酬額に関わらず、源泉しないといけないというのが税務署の見解です。

 マイナンバーの観点から補足します。例えば、園で借りている駐車場の個人オーナーへの年間合計支払額が15万円超になる場合にも、法人は個人オーナーのマイナンバーを記載した法定調書を税務署に提出する義務があります。つまり個人オーナーのマイナンバーを教えていただくことになります。

 中には、教えたくない!という方もいらっしゃるようです。法人としては無理強いして個人オーナーとの関係性がこじれるのは避けたいと思います。このような場合には、「マイナンバーの提供を求めたが、提供してもらえなかった」経緯を記録し、提出先の行政機関(この場合ですと税務署)に記録と一緒にマイナンバーの記載がない書類(この場合ですと法定調書)を提出するといいですね。行政機関は、法人がマイナンバーの提供を怠った、あるいは提供を受けたが紛失した、ことによる義務違反でないことが判断できます。

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桑戸真二・プロフィール:一般財団法人総合福祉研究会理事、NPO法人福祉総合評価機構専務理事、(株)福祉総研代表取締役。(株)フレーベル館顧問。社会福祉法人の新規設立・複合施設の企画・立案等を多数手がける。関係省庁・団体とのつながりも深い。

安岡知子・プロフィール:社会保険労務士法人 人財総研役員、㈱福祉総研KYOSTA事業部長。園の勤務経験をもとに、それぞれの法人の現状を踏まえた「現実的なアドバイス」「実施可能なご提案」など「人」に関わる分野で園経営をサポート。

保育ナビ倶楽部 会員限定メールマガジン 2016年4月15日号「コンサルタント・桑戸的な視点」から)