桑戸真二(株式会社フレーベル館顧問)、小出正治(NPO法人福祉総合評価機構理事)

■ 第2回 情報管理 ■

『桑戸的な視点』、前回のマイナンバーに引き続き、今回も情報管理について考えてみます。

どこそこの企業から個人情報何万件が流出した、などという報道が、頻繁にメディアを賑わせています。園の経営においても、子どもや保護者、職員の個人情報やプライバシーの管理を徹底することは重要なテーマの一つです。どのような取り組みが必要なのでしょうか? 約700園の保育所・認定こども園等の第三者評価を手掛けているNPO法人福祉総合評価機構の小出さんに聞いてみました。

<アドバイス>

NPO法人福祉総合評価機構の小出です。よろしくお願いします。

個人情報保護に関しては、規程やプライバシーポリシーを定めるだけでは十分とは言えないでしょう。そうしたものが「ある」ことと、「実際にそのとおりの運用がなされている」かどうかは全く別だからです。しかもそれらの文書は、多くの場合は他から入手したひな型通りの内容で、例えば規程に「個人情報の利用目的をできる限り特定し、その目的以外には使用しない」と書いてあっても、肝心の「利用目的」がどこにも書かれていないケースがあります。

また、ポリシーに「個人情報を適切に取り扱う」とうたっているのに、では児童票をどう管理するのか、毎日保護者から預かる連絡帳はどこに置いたらいいのか、職員全員が共通理解をしていない、などというケースもよくあります。

規程やポリシーには「現場で書類やデータをどのように取り扱うべきか」の具体的なルールが書かれていない場合がほとんどですから、それをマニュアルなどに明文化して、組織内に周知させる必要があります。

勤務時間内に仕事が終わらないからと、データをUSBメモリなどで持ち帰って仕事をせざるを得ない職員さんも多いと思いますが、自宅のパソコンからウイルス感染などによって情報が流出するおそれがありますし、帰宅中にひったくりや車上荒らしに遭い、バッグごと盗まれてしまうという事件も実際に起きています。データも書類も、できる限り園外には持ち出さないようにするべきでしょう。

情報漏えいはそれ自体も大きなダメージで、訴訟や損害賠償沙汰になるリスクもあるだけでなく、漏えいが報道され、社会に伝わることで園の信用も傷つけてしまいます。ネット社会になり、特に若い職員にはSNSは欠かせないツールですが、その点で気をつけることはありますか?

<アドバイス>

子ども・保護者の情報や職場内のグチを、知り合いしか見ていないからと思ってLINEやFacebookに書いたところ、まわりまわって本人に知られてしまって「炎上」する、というケースは、あちこちの園で起きています。「うちの園は採用の時に職員から守秘義務の誓約書を取っているから大丈夫」と思っている園長先生も多いのですが、「守秘義務」には「SNSで業務上の機密を漏らさないこと」も含まれているのだということを、きちんと職員に理解させておくべきでしょう。

聞いていて思ったのですが、それは保護者も同じかもしれませんね。わが子の活躍を自慢したくて、家庭で録画した行事の映像を動画サイトに上げてしまう保護者もいるようですので。

<アドバイス>

その通りです。そうしたリスクも勘案し、写真や動画の撮影はすべて業者に委託し、保護者の私的撮影を一切禁止とする園もありますが、それはそれで不満を招いてしまいます。撮影を認める場合はプライバシーへの配慮を必ず求めることと、それに違反して保護者間でトラブルが起きた場合に園は責任を負いかねるということを明確にしておくことが望ましいと思います。近年はそうしたルールも入園時の説明に加えている事業者さんも増えていますね。

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桑戸真二・プロフィール:一般財団法人総合福祉研究会理事、NPO法人福祉総合評価機構専務理事、(株)福祉総研代表取締役。(株)フレーベル館顧問。社会福祉法人の新規設立・複合施設の企画・立案等を多数手がける。関係省庁・団体とのつながりも深い。

小出正治・プロフィール:NPO法人福祉総合評価機構理事・事務局長・評価推進部長。同法人が認可・認証保育所、認定こども園等に実施した約700施設の第三者評価業務に関わる。また同法人によるネットワーク「保育所サポートデスク」事務局も運営している。

(保育ナビ倶楽部 会員限定メールマガジン 2016年5月15日号「コンサルタント・桑戸的な視点」から)